思い込みこそ企画のタネが埋まっている

最終更新日: 公開日: 2022年11月

先日,「現場の意見と設計の考え」について書いていて気づいたことがあるので,それを改めて書いてみる.

ヒアリングは大事なのだが,どういう風にヒアリングすれば効果的にコンサルティングが出来るか?ということについて.

ヒアリング時の心構え

登山靴選定の「とある例」

軽登山靴
見る人が見ればどこの店のことかは分かる

先日,登山靴の選定を専門店の人に聞きながら行ったが,山登りをよくしている店員に自分の今度の山登りの話をして靴の選定をしてもらった.
つまり,コンサルティング営業を受けに行ったわけである.

その店には実際の坂や石がゴロゴロした道を模した道が作ってあり,靴を履いて歩いて試せるようになっている.

実際に登山靴を履かせてもらって斜面を登った時にスニーカーに慣れている私が

「かなり登りにくいんですけど」

といえば,登りやすくするための登りの時の靴紐の結び方を教えてもらえた.
当然,

「これ下りの時はどうするんです?」

と聞けば,下りの時の靴紐の結び方も教えてもらえる.

実際にその結び方をして登り降りをしてみれば実感として「なるほど歩きやすい」と思えた.

これこそがコンサルティング営業であり,お客様の立場になって提案するということである.

「かなり登りにくいんだけど」

といった時に

「そうですねえ.まあ慣れですよ.」

だとただの販売員であり,全く心は動かされない.

ちなみに靴紐の話は本当の話なのか?と後で検索してみると確かに説明したホームページもあるし,Youtube にもあがっている.
理屈で納得しても,さらに念押しで裏付けをとることも重要なことだ.

そして当然「なぜ登りにくいように出来ているのか」についても聞いて足の安全も教えてもらえばさらに納得である.

遠慮がちな日本人

後から私が思うに

  • 初心者としての質問
  • さらに説明を受けたときに鵜呑みにせず,それは何で?という突っ込み

をしていない人が多いのではないかと思う.

なぜ?と思っても,「そういうものか」と勝手に納得する人のなんと多いことか?

つまり,なぜ登山靴を選ぶかという肝心なところである.

「スニーカーに比べてソールが硬いのでしっかり踏み込める」ぐらいのことは知っているにしても,

「山に登るから普通,登山靴いるだろう」
「みんな使ってるから登山靴いるだろう」
「友達が登山靴いるだろっていうから買うか」

ぐらいで買っている人もいるだろう.

本音は登りにくいのに「登山靴ってこういうものか」で勝手に納得してしまう.
機械も使いにくいのに「機械ってこういうものか」で勝手に納得してしまう.

結局,そういう考え方が工場の片隅でホコリをかぶっている機械を産んでいる.

詳しく道具を知らなくてもある程度は使えるので,それほど問題が起きる場面がないのかもしれないがもったいないことである.

登山靴だって設計している人はいろんなことを考えて設計しているが,お客様に伝わっていないことは多いのだろう.
つまり,そういう現実を設計者が理解すれば,もう少しマーケティングの方法を変える必要性も感じられる.

今は,現場の営業する店員の力量に委ねられていることが多いはずだ.

店員(営業)の立場から考える

何も聞かないでじっと見ているお客様のことを考えてみる.

「声かけるとうざがられるかな?」

と思い,自分から積極的に話しかけることはしない人もいるだろう.

やはり,目を合わせてみて反応を見るのが正しいのではないだろうか.

目を合わせようともしない人はやはり放っておいてほしいということだろう.

目を合わせたときの表情によっては話しかけたほうがよいかどうかある程度分かると思うので,そこから入ると良いだろう.

そこから先は基本的に「聞く」ことに徹するべきだ.

心に触れるホームページをつくる」にはこのヒアリングわらしべ長者について書いてあるので是非ご覧ください.

なぜ思い込みに企画の種が埋まっているか

世の中に「常識」と勝手に思われていることでおかしなことは多数ある.
知らないことだってたくさんある.

  • みんなが使っている安心感
  • 感情に訴えかける
  • 分かりやすい内容
  • 肩書や権威の利用

詳しくは「群衆心理 ギュスターヴ・ル・ボン」を読んでほしい.

相手に悪気があろうか,なかろうがそんなことは無関係に人は簡単に思い込まされている.

ということは逆に商品やサービスでその思い込みを打破することが出来れば,それは商機に繋がるのである.
特に付加価値の高い商品というのは常識の反対を行くことであることも多い.

なぜなら,常識の反対というのはみんなが思いつかない,つまり作ろうとも思わないものである.
商品・サービスを知ることによりその常識が間違っていたことが分かった場合には,それに気づいた群衆が支持することになる.
つまり,競合も最初は気づきにくいわけである.
だからスタートダッシュで優位を奪うことが出来る.

いかにしてメッセージを伝えるか

「商品・サービス」に様々な特長があり,蘊蓄(うんちく)を多数語れることがあったとしてもどうやってそれを伝えればよいのか?

顧客リストを持っている場合は,そのリスト宛にメール配信をするというのが最も簡単に思いつく方法だ.

先の登山靴の例では店員と話をしなければわからなかった.靴の展示してある場所にそんなことは書いていない.
また,履いてみて初めて歩きにくいことが分かるので,もし壁に書いてあっても何のことかわからないだろう.

これはサンプル貸しという手法が使える.
一度試してもらうのだ.それで問題なければそれを買ってもらう.
問題があると思えば質問が来るので,それに対して先ほどの例のように満足する回答が出来れば買ってもらえる確率が上がる.

後はそもそもその商品を探している人が検索することを期待して,ホームページ上でコンテンツを豊富に用意して待ち構える方法がある.
つまり,「登山靴」に関するページを多数作る.
店員だとお客さんと話しているときに聞かれるよく聞かれる質問があるだろう.
私の「歩きにくい」もその一つのはずだ.
「登山靴は歩きにくい?」という見出しでページを作ればよい.
つまり,ホームページのネタは店員ならたくさん持っているはずなのである.
「よく聞かれる質問」は店員にとっては当たり前すぎて思い出せないかもしれない.

みんな知ってることだ

という思い込みを捨てることから始めよう.

 

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