営業日報をExcelで管理 〜 その限界と営業情報を共有・活用する仕組み
営業日報は,その日の営業活動を記録するためだけのものではない.
誰がどの顧客と話をしたのか,どの案件が進んでいるのか,次に何をするのかが分かれば,営業担当者個人の記録を会社の情報として利用できる.
そのため,営業日報をどのように管理するかは,営業活動の効率だけでなく,営業情報を社内で共有できるかどうかにも関係してくる.
ここでは,営業日報をExcelで管理する方法と,Excelで管理する場合の限界について考えてみる.
営業日報をExcelで管理するメリット
紙やノートより情報を残しやすい
営業担当者がそれぞれのノートや紙の日報に記録していると,保管場所がばらばらになり,他の人が内容を確認しにくい.紙を紛失したり,過去の日報を一枚ずつ探したりすることもある.
Excelに入力しておけば,少なくとも同じ形式のデータとして保存できる.専用の営業日報・顧客管理システムほど共有や検索はしやすくないが,紙のまま管理するよりは,営業情報を蓄積し,あとで集計するための土台を作りやすい.
入力項目を自社に合わせやすい
Excelは,会社ごとの営業方法に合わせて項目を追加しやすい.
訪問先,商談内容,担当者,次回訪問日,受注見込みなど,必要な項目を自分たちで決めて表にできる.すでにExcelを使っている会社であれば,新しいシステムの使い方を覚えなくても始められる.
費用をかけずに始められる
専用の営業日報システムを導入する場合は,初期設定や利用料金が必要になる.
一方で,Excelはすでにパソコンに入っていることが多く,まずは試しに営業日報の管理を始めたい会社には使いやすい.
集計や加工ができる
Excelには,並べ替え,フィルター,関数,グラフなどの機能がある.担当者別の訪問件数や,月ごとの商談数を集計することもできる.
営業日報を単に保存するだけでなく,営業活動を振り返るための資料にできる点はExcelの利点である.
営業日報をExcelで管理する方法
入力する項目を決める
最初に,営業日報に何を記録するかを決める.
例えば,次のような項目が考えられる.
- 日付
- 担当者
- 顧客名
- 案件名
- 訪問や連絡の内容
- 顧客の反応
- 次回の対応
- 受注確度
項目を増やしすぎると入力する側の負担が増える.あとで見返す必要がある情報に絞った方が,営業日報は続きやすい.
営業日報と案件管理を分けすぎない
営業日報と案件管理を別々のファイルにすると,顧客名や案件名を何度も入力することになる.
営業日報には顧客名と案件名を記録し,案件の進捗や次回対応と結び付けて確認できるようにしておくと,情報を活用しやすい.
入力方法を決めておく
同じ顧客でも,会社名の表記が人によって違うと,あとで検索や集計ができなくなる.
顧客名や担当者名は一覧から選択するようにするなど,入力方法を決めておく必要がある.
Excelでの営業日報・案件管理に限界を感じる理由
ファイルが担当者ごとに分かれる
担当者ごとに営業日報のファイルを作ると,管理者は複数のファイルを開いて確認しなければならない.
ファイル名や保存場所が統一されていない場合は,そもそも最新の営業日報がどれなのか分からなくなる.
会社名や顧客名を毎回入力する必要がある
営業日報を入力するたびに会社名や顧客名を手入力していると,同じ顧客なのに表記が少しずつ違ってしまうことがある.
株式会社の有無や略称の違いがあるだけでも,あとで検索や集計をするときに別の顧客として扱われる場合がある.入力の手間が増えるだけでなく,営業情報の正確さにも影響する.
更新されているか分からない
共有フォルダにExcelファイルを置いても,誰かが編集中だったり,古いファイルをコピーして使っていたりすることがある.
営業情報を共有したつもりでも,見ているファイルが違えば,社内で認識がずれてしまう.
スマホで開くと横長になり見づらい
営業日報の項目を一つの表に並べていくと,列が増えて横長になりやすい.
パソコンでは確認できても,外出先でスマホから開くと横スクロールが必要になる.画面を何度も横に動かさなければならず,必要な情報をすぐに確認しにくい.
案件の進捗を追いにくい
営業日報を日付順に並べるだけでは,ひとつの案件について過去にどのような対応をしたのかを追いにくい.
案件数が増えると,担当者別,顧客別,案件別に情報を検索して整理する作業が必要になる.この作業を人手で続けるのは簡単ではない.
顧客情報や対応履歴が活用されない
営業日報を入力していても,入力した内容が次の営業活動に使われなければ,記録のための記録になってしまう.
顧客情報,過去の対応履歴,案件の進捗が別々に保存されていると,必要な情報を探すだけで時間がかかる.
営業情報を共有・活用する方法
営業情報を共有するためには,ファイルを同じ場所に置くだけでは足りない.
誰が,いつ,どの顧客について,何をしたのかを同じ形式で記録し,あとから検索できるようにする必要がある.
顧客情報はクリックして選択できる
顧客情報をあらかじめ登録しておけば,営業日報を入力するたびに会社名や顧客名をコピーして貼り付ける必要はない.一覧から顧客をクリックして選ぶだけで,その顧客に営業日報を紐づけられる.
会社名の入力に余計な時間を使わずに済み,表記ゆれやコピー間違いも防げる.営業担当者は,商談内容や顧客の反応,次回対応など,本来記録する必要がある情報の入力に集中できる.
例えば,次のような情報を顧客や案件に紐づけて管理する.
このように情報をまとめておけば,担当者が不在のときでも,別の人が顧客や案件の状況を確認できる.
Excelから営業日報・顧客管理システムへ移行する判断基準
Excelを使っているから問題があるというわけではない.営業担当者が少なく,案件数も少ないうちは,Excelで十分な場合もある.
しかし,次のような状態になっているなら,営業日報,案件管理,顧客管理をまとめて扱える仕組みを検討した方がよい.
- 担当者ごとに別のファイルを使っている
- 最新の営業情報を探すのに時間がかかる
- 顧客ごとの過去の対応履歴をすぐに確認できない
- 案件の進捗確認を会議のたびに手作業で集計している
- 担当者が休むと顧客への対応状況が分からない
重要なのは,最初から高機能なシステムを導入することではない.自社で必要な情報を決め,その情報を入力して共有し,次の営業活動に使えるようにすることである.
まとめ
営業日報をExcelで管理する方法は,費用をかけずに始めやすく,自社に合わせて項目を変更できるという利点がある.
一方で,担当者や案件が増えると,ファイルの分散,更新漏れ,検索のしにくさなどの問題が出てくる.
営業日報を作成すること自体を目的にせず,顧客情報や案件の進捗と結び付けて,営業情報を共有・活用できるようにすることが大切である.
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