AI に WordPress を読み取り専用アカウントで使わせる方法

更新日: 公開日: 2026/08

生成 AI から WordPress を操作できるようにすると管理者権限まで渡す必要があるように見える.しかし記事を読ませるだけ,あるいは下書きを作らせるだけなら,サイト全体を変更できる権限は必要ない.

WordPress 用 MCP サーバープラグインである Rectus Content Access for MCPMCP 接続へ独自の管理者権限を追加しない.接続を許可した WordPress ユーザーの権限で動作する.今回は専用アカウントの権限を「購読者」と「寄稿者」に絞り,読ませるだけの構成と,下書きまで任せる構成を確認する.

権限を絞ったアカウントから AI が WordPress の下書きだけを作成するイメージ

今回やりたいこと

AI 専用の WordPress アカウントへ必要最小限の権限を設定する.任せたい範囲によって二通りある.

  • 読ませるだけ.既存記事を参照させて調べものや下書きの材料にするが,サイトには何も書き込ませない
  • 下書きまで書かせる.記事の下書きは作成できるが,公開,画像,メニュー,他人の記事には触れられない

確認する範囲は次のとおりである.

  • 記事の一覧取得と本文の読み取りができるか
  • 他人の下書きや非公開記事まで読めてしまわないか
  • 通常の投稿を下書きで作成できるか
  • 記事を公開できるか
  • 他人の記事を編集できるか
  • 画像やメニューを操作できるか

検証にはローカルの WordPress(公開記事375件,下書き7件)を使った.購読者は実際にアカウントを作成して各操作を呼び出し,寄稿者と投稿者は権限セットを差し替えて確認した.以下は Rectus Content Access for MCP 1.4.0 での結果である.

読ませるだけなら購読者

既存記事を読ませるだけなら「購読者」で足りる.購読者は公開記事の一覧取得と,タイトル,本文,抜粋,カテゴリーやタグ,公開されているカスタムフィールドの読み取りができる.記事の作成と更新,カテゴリーやタグの作成,画像,メニューはすべて拒否される.

読める範囲は WordPress の判定に従う.下書きやレビュー待ちの記事はその記事を編集できるユーザーだけ,非公開記事は非公開記事を閲覧できるユーザーだけが読める.購読者にはどちらの権限もない.一覧で下書きを名指しで指定した場合は,空の一覧ではなく権限が足りないというエラーが返る.

AI に既存記事を読ませたいのは,重複した題材を避ける,文体を踏襲する,内部リンクを張るといった作業に既存記事の内容が要るためである.読ませる作業と書き込む作業を分け,書き込みは人が管理画面で行う,という使い方ができる.

下書きまで書かせるなら寄稿者

下書きの作成まで任せるなら「寄稿者」になる.寄稿者は自分の記事を書いて下書きとして保存でき,保存した自分の下書きを編集できる.標準状態では記事の公開と画像アップロードができない.他人の記事やテーマのメニューを変更する権限もない.

「投稿者」は自分の記事を公開でき,画像もアップロードできる.下書きだけを任せたい用途には権限が広い.公開や画像登録も任せる段階になってから投稿者を検討すればよい.

Codex へ渡す指示

指示は次のように短くできる.

この内容で WordPress に記事の下書きを作って.公開はしないで

指示で公開しないように伝えるだけでなく,WordPress 側でも公開できない権限にしておく.依頼文の解釈とサーバー側の権限を二重に使う考え方である.

MCP が確認する WordPress の権限

Rectus Content Access for MCP は操作ごとに WordPress の操作権限を確認する.MCP と接続したことを理由に,認可したユーザーの権限を超えて操作することはない.

記事の一覧取得と読み取りでは,その記事を読む権限を確認する.公開記事は閲覧権限,下書きやレビュー待ちは編集権限,非公開記事は非公開記事の閲覧権限という WordPress 本体の判定をそのまま使う.

下書き作成では投稿タイプの作成権限を確認する.ステータスに公開を指定した場合はさらに公開権限が必要になる.既存記事の更新では,その記事を現在のユーザーが編集できるかを確認する.

画像の一覧取得とアップロードには画像ファイルを操作する権限が必要である.読み取りだけのアカウントへ開放していないのは,メディアライブラリを一覧できること自体がファイルの列挙になるためである.クラシックメニューの操作にはメニューを変更する権限が必要になる.購読者にも寄稿者にも,どちらの権限も含まれない.

管理者はプラグインの設定画面で MCP から扱う投稿タイプも選べる.ブログ記事だけを任せるなら「投稿」だけを有効にし,不要な固定ページやカスタム投稿タイプを許可しない方が分かりやすい.

ロール別に許可される操作

操作 購読者 寄稿者 主な確認権限
記事を一覧 許可 許可 投稿タイプの閲覧権限
公開記事を読む 許可 許可 対象記事の閲覧権限
他人の下書きを読む 拒否 拒否 対象記事の編集権限
非公開記事を読む 拒否 拒否 非公開記事を読む権限
カテゴリーやタグを一覧 許可 許可 閲覧権限
新しい記事を下書き作成 拒否 許可 記事の作成権限
自分の下書きを編集 拒否 許可 対象記事の編集権限
記事を公開 拒否 拒否 記事を公開する権限
他人の記事を編集 拒否 拒否 対象記事の編集権限
画像を一覧・アップロード 拒否 拒否 画像ファイルを操作する権限
メニューを変更 拒否 拒否 メニューを変更する権限

この表は WordPress 標準のロールを前提にしている.権限管理プラグインなどでロールを変更しているサイトでは,実際の権限を確認する必要がある.

使えない操作は AI から見えない

WordPress 7.1 以降では,接続したユーザーがどう指定しても実行できない操作を機能の一覧に出さない.購読者で接続した場合,31ある操作のうち見えるのは,記事の一覧取得,記事の読み取り,投稿タイプの一覧取得,カテゴリーやタグの一覧取得の4つである.寄稿者では9つ,投稿者では15,編集者では17,管理者では31すべてになる.

これは安全性のための仕組みではない.実行時の権限確認は従来どおり行う.AI が使えない操作を順に呼んでは拒否される,という無駄をなくすためのものである.WordPress 6.9 と 7.0 ではすべての操作が見え,呼び出したときに拒否される.

1.3.0 以前は読み取りにも編集権限が必要だった

Rectus Content Access for MCP 1.3.0 以前は,読み取りの操作も編集権限で判定していた.そのため購読者で接続すると,接続そのものはできるのに記事を1件も読めなかった.寄稿者や投稿者でも,自分が書いた記事以外は読めない.専用アカウントは記事を1本も書いていないので,既存記事が一件も見えない状態になる.

記事の一覧取得が総件数だけを返し,中身が空で返ることもあった.「382件ある」と言いながら1件も返らないため,AI から見ると何が起きたのか分からない.読み取り専用のアカウントを用意するなら 1.4.0 以降を使う.

アイキャッチ画像だけは正体が分からない

読み取りだけのアカウントでも,記事本文に書かれた画像は見える.本文に記載された画像情報がそのまま返るため,ファイルの場所と代替テキストが分かる.

一方でアイキャッチ画像は添付 ID しか返らない.ファイル名も URL も分からず,メディアライブラリの一覧が使えないので ID から引き直すこともできない.これは列挙による情報開示を避けた結果で,承知のうえでそのままにしている.挿絵のある記事なら本文から内容を把握できる.

接続を承認する人を確認する

MCP の OAuth 認可画面では,そのとき WordPress にログインしているユーザーとして接続を許可する.専用アカウントで試す場合は管理者でログインしたまま認可しないようにする.

認可前に確認する項目はユーザー名,ロール,操作を許可する投稿タイプである.接続後も最初から公開作業を頼まず,記事の一覧取得や読み取りから始める.

WordPress のパスワードを Codex に渡す必要はない.ブラウザ上で WordPress の認可を行い,接続を終了したい場合は管理画面から該当する OAuth 接続を無効化できる.

再取得して確認すること

下書き作成まで任せる場合は,作成後に次の内容を確認する.

  • 指定したタイトルと本文が保存されているか
  • 保存状態が「下書き」になっているか
  • 意図しないカテゴリーやタグが追加されていないか
  • 画像やメニューに変更がないか
  • 公開記事として表示されていないか

処理の成功表示だけでなく,WordPress に保存された値を読み直す.権限の確認と保存結果の確認は別に行う.

注意点

同じロールでもどのサイトでも同じ動作になるとは限らない.テーマやプラグインがロールへ独自の権限を追加している場合がある.実際のサイトで専用アカウントを作り,許可される操作と拒否される操作を確認する必要がある.

カテゴリーやタグにもタクソノミーごとの権限がある.一覧の取得は読み取り権限でできるが,新しいカテゴリーやタグを作成できるとは限らない.既存の分類を使う場合も,最初に一覧を取得して確認する.

また権限を絞っても,誤った文章を下書きへ保存する可能性は残る.変更予定の確認,部分編集の競合防止,保存後の再取得も引き続き必要である.

導入と接続方法は「WordPress を MCP から操作する「Rectus Content Access for MCP」の設定と使い方」を参照してほしい.

まとめ

AI に WordPress を操作させるために,必ず管理者権限を渡す必要はない.既存記事を読ませるだけなら購読者,下書きの作成まで任せるなら寄稿者が候補になる.

Rectus Content Access for MCP は認可した WordPress ユーザーの権限を操作ごとに確認する.専用アカウント,許可する投稿タイプ,任せる範囲に合わせたロールを組み合わせることで,AI が操作できる範囲を必要最小限にできる.

 

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