WordPress MCP を比較

更新日: 公開日: 2026/09

Codex や Claude Code などの AI から WordPress を操作したくて「WordPress MCP」で調べると公式の MCP Adapter,WordPress.com の MCP,AI Engine などいくつもの名前が出てくる.どれも MCP で WordPress を操作するものだが動作する場所も認証方式もできることも違う.

レクタスでも WordPress プラグイン「Rectus Content Access for MCP」を公開している.2026年9月にはブロック単位の安全な編集に対応した1.6.0を公開した.今回はこれを含めた4つを2026年9月時点の公式資料をもとに比べる.本記事では外部のAIクライアントからWordPressを読み書きするMCP編集コネクタとして各製品を比較する.WordPress内のチャットボットがモデルAPIを呼び出して文章を生成する機能とは別の話である.

WordPress MCP の3つの接続・編集方式を比較するイメージ

MCP Adapter は記事を書く機能ではなく部品

MCP Adapter は WordPress 公式の部品で Abilities API に登録された機能(Ability)を MCP のツールとして公開する.MCP から呼び出せる入口を用意するもので記事を書く機能そのものではない.

MCP Adapter にも WordPress 本体(7.1 時点)にも記事を作成・更新する Ability は含まれていない.記事を書かせるには Ability を自分で実装するか別のプラグインで用意する必要がある.

Rectus Content Access for MCP はこの MCP Adapter を同梱したうえで記事,メディア,メニューなどを操作する Ability と OAuth による接続を加えたプラグインである.現行の 1.6.0 では,ブロックエディターで作成した記事も扱える.記事本文を WordPress 標準のブロックとして解析し,ブロック一覧の取得,ブロック内の文字列置換,ブロック全体の置換,前後への挿入,削除を,本文とブロックの SHA-256 を確認しながら実行できる.「MCP Adapter か Rectus か」ではなく MCP Adapter の上に記事を扱う機能を足したものと考えると分かりやすい.

主な違い

AI Engine は無料版と Pro 版でMCPとして扱える範囲が大きく異なる.そのため表では別に記す.AI EngineのWordPress内AI機能と,外部AIからサイトを操作するMCP機能も分けて考える.

仕組みと費用

動く場所 認証 費用
Rectus Content Access for MCP 自分の WordPress OAuth 2.1 無料
(外部AIは別料金)
WordPress 公式 MCP Adapter 自分の WordPress アプリケーションパスワードなど 無料
WordPress.com の MCP WordPress.com OAuth 2.1 有料プラン
(無料は30日)
AI Engine 無料版 自分の WordPress OAuth 2.1 か Bearer トークン 基本MCPサーバーは無料
WordPress内AIのAPIは別料金
AI Engine Pro 自分の WordPress OAuth 2.1 か Bearer トークン Proライセンス
WordPress内AIのAPIは別料金

「自分の WordPress」はサイトにプラグインを入れて WordPress の中で動かすという意味である.MCP Adapter は手元のサイトなら WP-CLI でつなぐ.HTTP でつなぐ接続例では Node.js 18 以上で動く中継プログラムとアプリケーションパスワードを使う.WordPress.com の MCP は無料サイトでも作成後30日間は使える.

AI Engine 無料版の「基本MCPサーバーは無料」は,外部のAIクライアントから WordPress を操作する入口が無料プラグインに含まれるという意味である.文章生成やチャットボットで OpenAI などのモデルを使う費用,Codex や Claude Code など外部AIクライアントの料金は含まれない.

編集用MCPでできる主な操作

Rectus MCP
Adapter
WordPress.com AI Engine
無料版
AI Engine
Pro
投稿・固定ページ・カスタム投稿タイプ 自作
投稿の作成・更新 自作
画像・メディア 自作
カテゴリー・タグ・タクソノミー 自作
コメント・ユーザー・サイト設定 コメントのみ 自作
ブロックを指定した部分編集
二重SHA-256
自作 仕様未確認 仕様未確認
一括変更・投稿リビジョン復元・MCP操作履歴 自作 一部 一部
外観 → メニューの従来メニュー 自作 仕様未確認 テーマ操作
固定ページ用 PHP テンプレート
page-*.phpのみ
自作 対象外 テーマ操作
テーマ・プラグイン・DB・WooCommerce 対象外 自作 プランによる 対象外
WordPress内の生成AI なし 自作 プランによる
APIは別料金

機能拡張

「自作」は標準の Ability が無く自分で実装するか別のプラグインで用意する項目である.「仕様未確認」は AI Engine の公式資料で Rectusと同じ個別の操作仕様を確認できなかったという意味であり,機能がないと断定するものではない.「一部」は一括投稿作成などの例はあるが,Rectusと同じリビジョン復元・MCP操作履歴の仕様は確認できなかったことを示す.

部分編集の方式は製品やプランによって異なる.Rectus Content Access for MCP は文字列置換に加えて,ブロック単位の置換,前後への挿入,削除にも対応している.WordPress.com の MCP もブロック単位の編集に対応する.Rectus Content Access for MCP が扱えるのは外観 → メニューの従来メニューと有効テーマ直下の固定ページ用テンプレート(page-*.php)で,ブロックテーマのテンプレートやナビゲーションは対象外である.

「二重 SHA-256」は暗号学的なハッシュ衝突の話ではない.ブロック一覧を取得した時点の本文全体と対象ブロックそれぞれの値を,編集を保存する直前にもう一度照合する仕組みである.人や別のAIがその間に本文または対象ブロックを変えていれば値が一致しないため,変更は保存せず競合エラーを返す.AIは一覧を読み直してから編集内容を作り直すことになる.

Rectus と AI Engine を編集コネクタとして比べる

結論からいうと,投稿や画像を AI から操作できる点は重なるが,同じことだけをするプラグインではない.Rectus Content Access for MCP は既存サイトを小さく安全に編集することを中心に作られている.AI Engine は WordPress 内の生成AIと,より広いサイト管理を行えるMCPを一つにまとめた製品である.

下表の「AI Engine 無料版」は標準の WordPress MCP サーバーを有効にした場合を指す.「AI Engine Pro」は Pro ライセンスを導入した場合を指す.Media Cleaner や Content Parser などの別売・別プラグインは,必要な場合に別途加えるものとする.「公式資料に同じ仕様の記載なし」は機能が絶対にないという意味ではなく,Rectusと同じ安全条件までは公開資料から確認できないという意味である.

編集・運用でできる操作

操作 Rectus Content Access for MCP 1.6.0 AI Engine 無料版のMCP AI Engine Pro
投稿・固定ページ・カスタム投稿タイプ ○ 一覧,取得,作成,更新,複製,ゴミ箱移動.管理者が許可したカスタム投稿タイプだけを公開する. ○ 投稿,固定ページ,カスタム投稿タイプの読み書きができる.
記事本文の小さな修正 ○ タイトル・本文・抜粋の文字列を SHA-256 競合検出付きで置換する. ○ 投稿の作成・更新ができる.同じフィールド単位の競合検出仕様は公式資料に記載がない.
ブロックエディターの本文 ○ ブロック一覧から1ブロックを指定して文言置換,置換,前後挿入,削除を行う.本文と対象ブロックの二重 SHA-256 を確認する. 投稿の編集はできる.ブロックパスと二重 SHA-256 を使う同じ編集仕様は公式資料に記載がない. エディター内でブロックを読み書き・並べ替える Assistant は Pro の機能である.
画像・メディア ○ 一覧,直接 multipart アップロード,Base64の予備経路,サーバー内取込,名称変更,削除,最大100件のメタデータ一括更新. ○ メディアのアップロードや生成を行える. Media Cleaner などの別プラグインを加えるとメディア整理のツールも増える.
カテゴリー・タグ・タクソノミー ○ 既存語句の一覧,作成,更新,削除と記事への割当. ○ カテゴリー,タグ,任意タクソノミーを扱える.
カスタムフィールド ○ 公開カスタムフィールドを読み書きする.管理者が許可した保護キーも対象にできる. ○ カスタムフィールドの一括更新を含む操作例が公開されている. 別売の Content Parser を加えると ACF など本文外のデータをAIが理解する範囲を広げられる.
コメント・ユーザー・サイト設定 コメントは一覧と承認・保留・スパム・ゴミ箱への変更に対応する.ユーザーや一般設定は対象外である. コメント,ユーザー,設定を含む WordPress コアの操作を扱える.
一括変更・復元・履歴 ○ 最大50件の記事の一括置換・更新,リビジョン復元,MCP操作履歴.途中失敗時は部分反映を返す. 一括投稿作成やカスタムフィールドの一括更新の例がある.投稿リビジョン復元や同じMCP操作履歴の仕様は公式資料に記載がない. Workspace の利用状況・費用管理などを追加できる.
外観 → メニューの従来メニュー・追加 CSS・ウィジェット ○ 外観 → メニューの従来メニューの階層・表示位置,追加 CSS,従来テーマのウィジェットを操作する.変更には確認や SHA-256 を求める. 同じ個別機能の公開仕様は確認できない. テーマ操作は可能だが,Rectusと同じ対象・確認条件かは別途確認が必要である.
固定ページ用 PHP テンプレート ○ 有効テーマ直下の page-*.php だけを読み書きする.任意のPHPファイルは操作しない. 対象外として分けている. テーマ操作を扱える.任意のテーマ編集は本番サイトでは特に注意が必要である.
テーマ・プラグイン・DB・WooCommerce 対象外. 標準MCPの対象外. ○ 高度なMCPツールとしてテーマ,プラグイン,データベース,WooCommerceを扱える.
WordPress内の生成AI 含まれない.外部の Codex や Claude Code などを接続する編集コネクタである. ○ チャットボット,文章・画像生成,Copilotなどを含む.モデル提供者の API キーと利用料金は別である. AI Forms,埋め込み,知識ベース,Assistantなどを追加できる.

どちらを選ぶか

記事の誤字修正,既存の段落だけの置換,ブロックの一部差し替え,メニューや追加 CSS の安全な変更を AI に頼みたいなら Rectus Content Access for MCP が合う.作業ごとに WordPress の権限,SHA-256 の競合検出,確認操作を使い分けられるからである.

WordPress 内でもチャットボットや文章生成を使いたい場合,AIからテーマ・プラグイン・DB・WooCommerceまでまとめて管理したい場合は AI Engine が合う.ただし Pro の対象範囲が広い分だけ,実際に公開するMCP機能と接続するユーザー権限を慎重に絞る必要がある.

費用も別々に考える.Rectus Content Access for MCP は無料プラグインで独自の生成AI利用料はない.AI Engine の基本MCPサーバーも無料版に含まれるが,WordPress内のAI生成を使うならモデル提供者へのAPI利用料がかかる.どちらも Codex や Claude Code など接続するAIクライアントの利用料は別である.

Automattic の WordPress MCP はアーカイブ済み

設定記事でよく紹介される Automattic の WordPress MCP(wordpress-mcp)プラグインは MCP Adapter への移行が案内されていて GitHub のリポジトリもアーカイブされている.

一緒に紹介されることの多い @automattic/mcp-wordpress-remote は手元のパソコンの Node.js で動かす中継プログラムである.現在の説明では MCP Adapter の接続先を指定して使う形になっている.古い記事の手順どおりに進める前にどちらを使う説明なのかを確かめたほうがよい.

どれを選べばよいか

WordPress.com のサイトなら WordPress.com の MCP

WordPress.com でサイトを運営しているなら WordPress.com の MCP を使うのが自然である.サイトにプラグインを入れる必要はなく接続先の URL を登録するだけで使える.ブロック単位の編集やテンプレート・ナビゲーションの変更まで扱える.ツールごとに使うかどうかを切り替えることもできる.

自己ホストの WordPress でも Jetpack で接続し Jetpack AI か Jetpack Complete を契約していれば使える.ただし使えるツールはプランや環境によって変わる.

自作の機能を AI から呼び出したいなら MCP Adapter

自作のプラグインやテーマの機能を AI から呼び出せるようにしたい開発者は MCP Adapter を直接使うのがよい.Abilities API で Ability を登録すれば入力と出力の形や権限の確認を自分で決めたツールとして公開できる.公開するかどうかは Ability ごとに決められ既定では非公開である.その代わり記事の作成や更新も必要な Ability を自分で書くか別のプラグインで用意することになる.

WordPress内のAI機能と編集コネクタをまとめたいなら AI Engine

AI Engine には二つの使い方がある.一つは WordPress 内でチャットボットや文章生成を動かす機能で,利用するモデルの API キーを自分で用意する.モデル提供者への従量課金は AI Engine の料金とは別である.もう一つは外部の Codex や Claude Code などから WordPress を操作する MCP サーバーである.この比較で扱うのは後者である.

基本MCPサーバーは無料版に含まれ,投稿やメディアなどを外部AIクライアントから操作できる.これはAIの生成APIが無料という意味ではない.テーマ,プラグイン,データベース,WooCommerceを扱う高度なMCPツールは Pro 版の機能である.MCP接続だけを使う場合に WordPress 内のチャットボット用モデルAPIを呼び出すわけではない.ただし接続先の AI クライアント側の利用料は別にかかる.

AI Engine は WordPress 内の生成AIも導入したい場合や,Proでサイト全体の管理機能まで広げたい場合に合う.既存記事を小さく確実に直し,変更の競合・復元・操作履歴を重視する場合は Rectus Content Access for MCP のほうが目的に合う.OAuth で接続を承認できるのは既定では管理者権限を持つユーザーだけである.固定の Bearer トークンでつなぐ場合は管理者として動作し,アクセスレベルで使えるツールを絞る.

自己ホストで Codex・Claude Code から記事を書くなら Rectus Content Access for MCP

自己ホストの WordPress で Codex や Claude Code から記事を直接読み書きしたい場合は Rectus Content Access for MCP が向いている.WordPress サーバーに Node.js を入れたり手元で中継プログラムを動かしたりする必要はない.設定画面に表示されるコマンドを1回実行してブラウザで承認すれば接続できる.

AI にできることを絞りたいときは編集者や読み取り権限だけのアカウントで接続すればよい.接続したユーザーの権限を超える操作はできない.

ただし,ブロック単位の編集には対象外条件がある.非canonicalな本文,クラシック形式の自由HTML,未登録・同期・ロックされたブロックは安全のため編集しない.ブロック全体の置換や前後への挿入は登録済みのcanonicalブロック1件に限り,文字列置換は子ブロックを持たないブロック内の1か所に限る.ブロックテーマのテンプレートやナビゲーション,プラグインの管理も Rectus Content Access for MCP の機能に含まれていない.これらが必要な場合は WordPress.com の MCP や自分で実装した Ability など他の方法のほうが合っている.

まとめ

「WordPress MCP」と呼ばれるものは WordPress.com が運営する MCP サーバーと WordPress の中で動くプラグインに大きく分かれる.公式の MCP Adapter はその土台となる部品で記事を書く機能は別に用意する必要がある.

WordPress.com のサイトなら WordPress.com の MCP,自作の機能を公開したいなら MCP Adapter,WordPress内のAI機能とMCP編集コネクタをまとめたいなら AI Engine,自己ホストの WordPress で Codex や Claude Code から記事を書くなら Rectus Content Access for MCP と用途で選ぶとよい.

プラグインの詳細と導入方法

Rectus Content Access for MCP の機能,安全に編集する仕組み,導入方法は次のページで説明している.

Rectus Content Access for MCP - WordPress用 MCPサーバー プラグイン

 

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