Salesforceが定着しない理由と定着化の進め方
「Salesforce が定着しない」という話は導入から半年ほど経った頃に出てくることが多い.入れたはずの仕組みが回らず一部の人しか入力しない.集計しようとしても数字が揃わない.
先に切り分けておきたいことがある.定着しないのは使う人のやる気の問題であることは少ない.入力が続かない状態にはいくつか決まった理由があり,運用の順番を変えるだけで動き出すこともある.順番を変えても動かないなら道具の側に理由がある.この記事では前者から順に見ていく.
なおここでは Salesforce を例にとるが,定着しないときに起きていること自体はSFA全般に共通する.見分け方も変える順番もそのまま使える.
「定着しない」とは具体的にどういう状態か
一口に定着しないと言っても中身は三つに分かれる.どれが起きているかで打つ手が変わる.
入力する人としない人に分かれる
いちばん多い形である.几帳面な人だけが入力し忙しい人ほど入力しない.入力されたデータは全体の一部にしかならず,そこから出した数字は現実と合わない.合わない数字は誰も見なくなり,見られないから入力する意味もなくなる.この循環に入ると立て直すのは難しい.
入力はされるが中身が薄い
「訪問」「電話」だけが並び,何を話して次に何をするのかが書かれていない.欄は埋まっているので入力率は高く見える.しかし後から読んでも引き継げないので,記録としての値打ちはほとんどない.
入れた人以外は誰も見ていない
入力は回っているのに上司も同僚も見ていない.入力した本人からすると報告書を提出させられているだけになる.この状態はいちばん静かに崩れる.不満が出ないまま入力が減っていくので気づくのが遅れる.
定着しない原因は「やる気」ではない
入力の手間が本人の得になっていない
入力は今の自分の時間を使い,得をするのは後の誰かである.この非対称がある限り忙しい人ほど後回しにする.続けてもらうには入力した本人に何かが返る必要がある.
求める項目が多すぎる
項目は管理者が自由に増やせる.現場が使う項目と管理側が集計したい項目を両方並べていくと入力画面は長くなる.一件あたり三分かかる入力は一日五件で十五分になり,週では一時間を超える.そこまでの時間を毎週差し出せる営業は多くない.
入れた情報が返ってこない
入力した内容が翌日の自分の役に立つなら入力は続く.前回何を話したか,次にいつ連絡するのか,それが一覧で出てくるなら入力は自分のためになる.出てこないなら入力はただの提出物である.
覚えないと使えない操作が残っている
使っているうちに自然と慣れる操作と,覚えようと決めない限り身につかない操作がある.レポートの組み立てなどは後者だ.後者は放っておいても解消しないので教育の時間を取るしかない.この二つを混同して「そのうち慣れるだろう」で済ませると何も変わらないまま止まる.違いについては「SFA・MAツールが「使いにくい」と言われる理由」で整理している.
定着化のために変える順番
やることの中身より順番の方が効く.いきなり全部をやろうとすると必ず失敗する.
一.求める項目を「商談が動いたと分かる最小限」まで削る
まず減らす.誰が・いつ・何を話し・次に何をするか,この四つが分かれば商談は追える.それ以外は当面は任意でよい.集計のために残したい項目があるなら,入力を求める人と求めない人を分けるという手もある.埋まるようになってから増やす方が結果として溜まる.
二.入力した人に最初に返す
今日入力した内容が翌朝の自分の行動リストになるようにする.返ってこない入力は続かない.順番として「集計に使う」より先に「入力した本人に使わせる」を置く.
三.入力された内容を前提に話す場を決める
週に一度でよいので,記録を見ながら話す場を作る.会議で口頭から聞き直した瞬間に入力は無意味になる.入力してあれば聞かれない,という状態を作れるかどうかで定着は決まる.
四.教育は一度ではなく短く繰り返す
導入時に半日の研修を一回やって終わりにすると,覚えないと使えない部分は身につかない.5分を何度かに分ける方が残る.新しく入った人はみんなで教える様にする.
五.入力率ではなく使われ方を見る
入力率を目標にすると中身の薄い入力が増える.見るべきは「次に何をするかまで書かれている割合」と「入力された記録が実際に読まれているか」である.
順番を変えても動かないなら道具の側を疑う
ここまでは運用で変えられる話だった.一方で何度操作しても手数が減らない部分は運用では埋まらない.目的の情報にたどり着くまでのクリック数や会社を選んでからでないと担当者に行けない構造がそれにあたる.どこまでが設定で直りどこからが製品の設計なのかは分けて考える必要がある.その切り分けは「Salesforceが「使いにくい」と言われる理由と対策」に書いた.
レクタスは「入力しないと何も起きない」を前提にしていない
定着の話が難しくなるのは,多くのSFAが入力されて初めて動き出す設計になっているからである.入力が止まればシステムからは何も出てこない.だから入力させることが目的になり,現場は提出物として扱うようになる.
レクタスの営業支援システムはここが違う.「自社のページを熱心に読んでいる人」を営業のきっかけにするので,入力が滞っている期間でも次に声をかけるべき相手は出てくる.誰がどのページをどれだけじっくり読んだかは訪問者の側の行動なので,こちらの入力量に左右されない.入力はその相手と何を話したかを残すために使う.
もちろん記録は残るほど役に立つ.ただ入力が止まった瞬間に営業が止まるという状態にはならないので,定着させるための圧力を現場にかけ続けなくて済む.入力を求める範囲を絞れるのはこの構造があるからだ.
未来の日付で書いた記録がそのまま自分への予約になる
レクタスの営業支援システムでは顧客とのやり取りをコミュニケーション履歴として残すが,これは日付を先の日にして登録できる.未来の日付を入れた時点で自動的に「再連絡」の扱いになり,前日と当日に担当者本人あてへメールが届く.書いた内容と顧客の情報がそのまま本文に入っているので思い出す手間もない.受け取り先はパソコンのメールでも携帯でも選べる.
記録を残す作業と,次にやることを自分に予約する作業が同じ一回で済む.入力が提出物ではなく自分の段取りになるというのは具体的にはこういうことである.先に「入力した本人に何かが返る必要がある」と書いたが,返るのは翌日の一覧だけではない.期日そのものが向こうから来る.
書いた瞬間に伝えたい相手へ届く
履歴を登録するとき社内で伝えたい相手を指定できる.指定すれば書き込みと同時にその人たちへメールが飛ぶ.改めて口頭やチャットで報告する工程がない.
「入力してあれば聞かれない」という状態を作れるかどうかで定着は決まると先に書いた.レクタスはそこを現場の努力ではなく仕組みの側で担保している.書けば伝わるので,書かずに口で伝えるほうが手間になる.
伝言が「言った言わない」にならない
この仕組みが効くのは営業本人が書くときだけではない.担当が外に出ている間に客先から電話が入ることがある.受けた事務員や別の営業がその顧客の履歴に「こういう話を聞いた」と書いて担当へ飛ばせばそれで終わる.
担当は出先でメールを受け取れるうえ内容はその顧客の記録としても残る.机に伝言メモを置く運用では渡した渡さない・見た見ないが起きる.記録と通知が同じ一回で済めばそもそも争点にならない.
伝言は社内でいちばん揉めやすい情報のひとつである.書き手が営業でなくてもよいので,電話を受けた人がその場で書けば情報は最短距離で担当に届く.全員に全部を求めないと先に書いたが,逆に営業以外の人にも書いてもらったほうがよい場面はある.
まずは今の入力項目を数えてみてほしい
定着の相談を受けたときに最初に見るのは入力画面である.商談を一件登録するのに何個の欄を埋めているかを数えるだけで,やる気の問題ではないことはたいてい分かる.
ご提案とお見積りの段階では費用は発生しない.導入期間の目安は約2ヶ月,最短2週間で,無料でお試しいただける.進め方は支援の流れのページにまとめている.
Salesforceの定着に関するFAQ
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